$レーザー光と普通の光の違い
前回、レーザーを理解するために必要な基礎的な事項の話をしました。
いよいよ「レーザー」の話に入ります。
レーザー光は普通の光と大きく違う性質を持っています。
では、普通の光とは何を指すのでしょうか?それは、太陽の光、蛍光灯の光、ろうそくの光等、普通日常生活でよく目にする光の事を云っています。これらの光はある一点から出た光はあらゆる方向に伝わって行き、その強度は距離の2乗に反比例して弱くなります。ある点から出た光が1mの距離で1平方センチメートル当たり1の強度であったとすると、2mの距離では1平方センチメートル当たり1/4に、3mの距離では1/9になります。これは広がる面積が4倍、9倍になるためです。
一方、レーザー光は殆ど広がることなく遠方まで届きます。例えば直径1mのレーザービームを月に向けて発すると約38万km遠方の月面でも、直径1kmくらいにしか広がりません。地球と月の間でも僅か100万分の1にしかならないのです。普通の光だと10E17(10の17乗をこの様に記述します)分の1になってしまいます。
これは遠くとの通信に使えそうですね。そうです、現在ではレーザー光は色々な情報伝達に大活躍です。
ではこの素晴らし性質はど宇して生まれるのかをこれから説明してゆきます。
先ずレーザー光から行きます。
レーザー光は前回述べた原子から発せられます。一つの原子から一つの光の波が発せられます。多くの原子を集めて多くの波を同時に発するようにしてレーザー光を作ります。レーザー光はこの時発せられる光の波の山と谷が全てきれいにそろっているのです。さらに山から次の山までの長さが全て等しくなっています。この山から次の山までの長さをその光の波長と云います。緑の光の波長は500nmです。山と谷が全てきれいに揃っているということはすべて同じ方向に進んでいるということです。従って、どこまで行っても夫々の波が離れることなく一直線にすすみ広がりません。本当は光には回折という現象があって、僅かですが広がりますがここでは無視します。
一方、普通の光は夫々の原子が発する光の山と谷が全く無関係でバラバラです。そのため方向もまちまちで結果的に四方八方全方向に出てゆきます。
では、この相違はどうして生まれるのかを説明しましょう。
既に気づいておられるでしょが、「原子が光を発する」と云うことを断りなく使いました。前回の説明で「すべての物質は原子で出来ている」ということを云いました。光は何らかの物質から発せられます。それを細かく見ると物質を構成する原子が光っているのです。
原子はどのようにして光を発するかを説明すると物質が光るメカニズムが分かることになります。原子は原子核と電子で構成されていることは前回説明しましたが、この電子が原子の中でその状態を変えるときに光を発生するのです。
電子のエネルギー準位
原子の中の電子の状態とはどういうことかを、電子が8個あるネオンNeを例にして光の発生のメカニズムを説明します。この8個の電子がどのような状態にあるかは、キッチリロ決まっています。それはシュレーディンガーの方程式と云う難しい量子力学の式を専門家が解いてくれていますので、我々はその結果を利用させてもらいます。
このきっちりと決まっている状態をイメージするために次の様に考えます。
Ne原子の原子核君は構想のマンションを経営しています。そのマンションの地下に原子核君は管理人として住んでいます。一階には電子君を入れる部屋が二部屋あります。二階には一階と同じタイプの部屋が2室と別のタイプの部屋が6部屋あります。Ne原子は10個の電子を持っているので、2回の部屋まですべて満室です。これがNe原子の普通の状態です。これを「基底状態」と云います。
ちょっと待て、前回は「電子は軌道を回っている」と云い、今回は」「マンションの部屋」かよと云われるでしょうが、どちらも現象を理解するためのイメージなのですからどてらでもよいのです。マンションの部屋を軌道だと思ってもらってもよいのです。
話を戻しましょう。このマンションの各階には部屋の名前が付いています。一階が1s、二階には2sタイプと2pタイプになっています。三階は空室ですが、3sが二室、3pが六室、3dが八室あります。ここに使った1,2,3・・・とか、s、p、dとかはちゃんとした意味があるのですが、ここではそのことには触れませんので、約束事だと理解してください。この1s、2s、2pなどの各タイプの部屋(電子の状態)にはそれぞれ固有のエネルギーがあります。部屋ごとの家賃のようなものと例えることが出来るでしょうか。このそれぞれの部屋のことを「電子のエネルギー準位」と云います。電子がどのエネルギー準位にあるかと云う事が電子の状態です。このエネルギーはどこから来るかと云うと原子核のプラス電荷と電子のマイナス電荷の電気的な引力によって発生します。これ他のエネルギー準位のエネルギーの値の計算は大変難しいのですが、専門の方々がちゃんと計算してくれて分かっています。例えば、Ne原子の3sのエネルギーは基底状態を基準にして13.5eVになります。このeVと云う単位はエネルギーの単位で、電子が1Vの電圧で1cm加速された時の電子のエネルギーで、
1eV=1.60218E-19J(ジュール)
です。
電子遷移
基底状態(二階の部屋が全て埋まっている状態)にあるNe原子に何らかの方法でエネルギーを与えますと二階の2p室にいる六個の電子君の内どれかが三階より上のどこかの空室に移動します。どこに移動するかは、二階の2p室と移動先の部屋のエネルギー差に等しいエネルギーを与えなけれbなりません。3s室に移動するには13.5eVのエネルギーが必要です。先ほど、エネルギーを家賃に例えましたが、差額の家賃をキッチリと払わなければ、上の階の部屋に住むことはできないのです。一銭もまかりません12eVではだめです。電子が2P室から3S室に移動することを、「電子が2Pから3Sに遷移した」と云います。
では今日はこれくらいで終わりにします。
次回からいよいよ光りだします。